PIC World 読者の皆さま
お待たせいたしました。
やはりちょっと間があいてしまいましたが、ついにVertu Signature Touchソフトウェアレビューです。(ハードウェアレビューについては、前回の記事をぜひご参照ください。)
いろいろと考えた結果、スクリーンショットをできるだけたくさん使ってその模様をわかりやすくお伝えしたかったので、そうすると全体的なボリュームがかなり肥大化してしまうこともあり、本ソフトウェアレビューは合計5回にわたる連載の形式をとらせていただくことにしました。
Vertuのハンドセットといえば、それこそその外観となるハードウェア部分のレビューの様子は多くのメディアで写真付きで頻繁に伝えらえてきたものの、肝心のソフトウェアに関する部分は実際にハンドセットを購入するか、またはVertuのオファー等で一定期間触る機会を与えられないことには十分に中身を確認できないこともあり、ごく一部のYouTubeサイトなどの動画投稿を除くと、その内容はほぼ謎のヴェールに包まれてきました。
特に日本語となると、私の知っている限りではソフトウェアレビュー記事はほぼ皆無でした。
ということで、今回はその壁をぶち破り、しかも日本語で、最新のハイエンドモデル「Vertu Signature Touch」のソフトウェアレビューを敢行したいと思います。
連載第一弾となる本記事では、まずVertu Signature Touch購入直後の最初の電源投入、およびその後画面に展開されるホーム画面、プリインストールアプリ、基本設定メニュー等の基本UIについてお伝えしたいと思います。
Vertu Signature Touchの電源を投入するには、本体右側面の電源キーを2、3秒長く押し続けます。
電源が投入されると、本体ディスプレイにはまず「Powered by Android」のロゴが下の方に数秒表示され、その後黒い背景の中にしばらく「VERTU」という白い文字が中央にくっきりと浮き出るように表示された後、あのVertu端末ではおなじみの「Vertu Sandpiper」の起動音の音色(少し違うけど、だいたいこんな感じのメロディー)が素晴らしいスピーカー音とともに数秒、辺りに響きわたります。
そして、この「Vertu Sandpiper」の起動音が終わると、はじめに以下の言語選択の画面が表示されます。
すみません、ここでまず言語として日本語を選択するのですが、ちょっとうっかりしていて、この画面で日本語を選択する部分のスクリーンショットを撮り忘れていました。スクリーンショットを撮るのは忘れてしまいましたが、ちゃんとこの言語リストの中に日本語オプションがあります。
初めての電源投入後、言語を選択すると、まず確認できるのは以下のホーム画面です。
Vertuではおなじみのクロノグラフを連想させるアナログ時計のウィジェットです。いつもながら、デザインがなかなかかっこいいですね。
また、ホーム画面は合計4つのView(ページ)で構成されているのですが、右にスワイプすると順に次のような画面が表示されます。
2つ目のViewとなるページにはVertu Lifeのウィジェットが配置されています。そして、さらに3つ目のViewではVertu Conciergeのウィジェット、また、一番右の4つ目のViewにはDOLBYのスーパーサウンド・プロファイルの選択ウィジェットがそれぞれ配置されています。
これらウィジェットに関しては、後ほどの連載で1つずつ詳しくご説明します。いったんここでは、取り急ぎ、これらのウィジェットが各Viewのページに配置され、なおかつ、一番左と2番目のViewの各ウィジェットの下には、それぞれ小さな丸いアイコンで「Vertu Life」、「Certainty」、「Concierge」、「About Vertu」の4つ、および「アカウント」、「アプリ」の2つのアプリショートカットがプリセットされていることを覚えておいてください。
なお、言語はこの時点ですでに日本語に設定されているため、1番左のViewでは日本語でGoogle検索の音声コマンドを利用できます。こちらも後でもう少しスクリーンショット付きでご説明します。
このほか、画面下のドックには、合計4つのアプリアイコン(それぞれ順番に「通話」、「メッセージ」、アプリドローワー、「カメラ」)が配置されていて、その一番右に1つのフォルダが置かれています。
一番右のフォルダには以下のようなアプリアイコンが既定で格納されています。どれもアンドロイド端末ではよく見かけるGoogleの代表アプリですね。
また、その下の最下段にはアンドロイドOSではおなじみの3つソフトキー(左から「戻る」、「ホーム」、「アプリ履歴」)が配置されています。
最右の「アプリ履歴」キーをタップすると、だいたい以下のような画面になります。
このように、上記をご覧いただければだいたいわかると思うのですが、以下の点を除けばVertu Signature Touchはほぼ素のAndroidと変わりません。
実際、以下のように画面下中央のアプリドローワーのアイコンを選択したときに表示されるアプリ一覧の画面や、上の通知バーを引き下げたときに表示される画面は特にVertu独自に変更されている点はなく、ほとんど素のアンドロイドと同様となっています。
以下の図は、ホーム画面下のドック中央のアプリドローワー・アイコンを選択した時に表示されるアプリ一覧のスクリーンショットです。
ぱっと見た感じ、いくつかのVertu専用アプリがあるのと、一部アイコンのデザインがVertu独自のものに塗り変えられているのを除くと、ほとんどがNexus 5の工場出荷時の状態とよく似ていますよね。ブラウザが「Chrome」だったり、「Gmail」、「Googleドライブ」、「Google Now」、「Google+」、あるいは「Google設定」があったりと、Nexus 5の初回起動時に普通に見られるアプリ一覧画面とそっくりです。
このほか「マップ」や「写真」アプリ、「ハングアウト」、「Playゲーム」、「Playニュース」、「Playブックス」、「Playミュージック」、「Playムービー」、「YouTube」はまったくNexus 5に入っているものと同じです。また、ちゃんと「Playストア」も含まれているので、ここから普通にPlayストアにアクセスし、必要なアプリをPlayストアからダウンロードしてインストールすることもできます。
さらに、アイコンのデザインこそ違いますが、これまた「カレンダー」、「ギャラリー」、「ダウンロード」、「メール」、「設定」(後述に詳細あり)、「電卓」、「電話」、「連絡帳」なども中身はNexus 5に入っているものとほぼ同じです。
ただ、似たようなアプリでも中身の仕様がちょっと違うものもあります。最も違うのは、カメラですが、これは後ほどの連載(多分5回目の最後の記事になります)で少し掘り下げてご説明したいと思います。このほか、クロノ風のアナログ時計が通常のアンドロイドの「時計」アプリのWidgetとして新たに追加されていたり、またハングアウトとは別に独自の「メッセージ」アプリを選択できる点、あとは「アカウント」、「アプリ」(これは「Vertu Recommended Apps」というVertuが独自に推奨するアプリの一覧画面に飛ぶようです)、「About Vertu」、「Assist」(画面を承認すればVertuカスタマーサービスにリモートでの端末操作を許可することができるアプリ)、「Certainty」、「Vertu Life」の独自のVertuアプリが存在するくらいです。
このほか、あらかじめ用意されているウィジェット一覧は次のようになります。
なお、設定画面も同様に、ほぼNexus 5のそれと同じ構造となっています。この設定画面は、Nexus 5でもそうであるように、上記アプリドローワー内の「設定」アイコンをタップするか、または通知バーを引き下げた際に表示される画面で、右上の9つの四角形のアイコンを選択し、その後表示されるクイックショートカット一覧の画面で設定アイコンをタップすることで表示できます。設定画面の構造は下図のとおりとなっています。ほぼ、というかまったくと言っていいほどNexus 5と同様です。
ちなみに、通知バーを引き下げると、次のような画面になります。
そして、この画面で右上の9つの四角形のアイコンを選択すると、下図のクイックショートカットの画面となります。
なんだかこのショートカットメニューもNexus 5そのものですね。ちょっと困ったのは画面のオリエンテーションの切り替えメニューがこのショートカットに含まれていないこと。いろいろ頑張ってみたのですが、私の勉強不足のせいか、どうやってもこのショートカットをこの画面に追加することができませんでした。(どなたかご存じの方いらしたら教えてください。。)
なお、おまけとして、上記トップレベルのメニューに加え、さらにその下の階層のいくつかのメニュー画面を以下に貼り付けておきます。
<無線とネットワーク –> その他…>
※ 「デフォルトのSMSアプリ」では、「ハングアウト」と「メッセージ」のいずれかを選択できます。
※ 「NFC」では、私のNexus 5とちゃんとAndroidビームできました。接続は良好でした。
※ 「テザリング」も挿入するSIMによっては結果が異なるかもしれませんが、ドコモインフラに対するLTE接続で一瞬試したところ、テザリングが可能でした。
※ アクセスポイントを設定することにより、3G/LTE通信も可能でした。(私が某社のMVNO SIMで試してみたときは、Speed Testで測れた速度はだいたい数十Mbps。おそらくLTEのBand1をつかんでいたのだと思います。残念ながら、Vertu Signature Touchは800MHz帯のBand19をサポートしていないので、田舎の方に行くと電波が入らないかもしれません。Vertu Signature Touchの詳細な仕様については、http://www.vertu.com/en/signature-touch/specificationsを参考にしてください。そうそう、この端末はLTE Cat4、Band3をサポートしているようなので、場所によっては最高150Mbpsの高速通信を体験できるかもしれません。)
※ 通話も普通にできましたが、緊急電話は試しておりません。
<壁紙>
※ デフォルトでプリインストールされている壁紙はたくさんありましたが、あまりに数が多いため、画像を縮小して1つの画像にまとめてあります。
※ はじめの6枚は各種Signature Touch Rangeの皮革の表面の模様を画面いっぱいに展開したもの、その次の11枚はおそらくロンドンのNational Galleryから入手した絵画、そして残りの10枚は雄大な大地のきれいな風景画像となっています。既存のホーム画面であらかじめ適用されていた壁紙は最後の黒背景・網模様の1枚となっています。
<LED>
※ 前回の記事で触れるのを忘れていましたが、Vertu Signature Touchの本体前面、左上にはきれいな色でさりげなく光るイルミネーションライトがあります。これは、新着のメッセージや通話の着信等があると光を放つのですが、この点灯条件をここで設定できるようです。
<位置情報>
※ 位置情報はデフォルトでONになっています。Googleマップもこの設定で正常に動作します。ただ、この画面の下の項目の「Google現在地送信機能」はデフォルトでオフになっています。
<セキュリティ>
※ セキュリティ設定の項目はNexus 5とほぼ違いはありません。画面ロックの選択肢としてはスライドやパターン、PIN、パスワードの他、フェイスアンロックもあります。これ、なかなかおもしろくて、たとえばアンロック時にカメラに向かってバカ殿様のアイーンみたいなことをやってもきちんと私の顔を認識してくれました。(このハンドセットの本当のOwnerの方、ちょっとふざけてしまって申し訳ありません。。)
できれば端末を日本語で使いたい私たちにとって、言語入力の設定は重要ですよね。
あらかじめ用意されている言語の選択肢は下図のように全部で20個存在するのですが、3番目にちゃんと「日本語」の項目が用意されています。
MoreLocaleアプリのように変則的な方法を使うのではなく、Vertu Signature Touchは初めから端末言語として日本語をフルサポートしているので、一部のUIがどうしても英語で残るというようなことはなく、とても安心です。
また、キーボードもちゃんと日本語版があらかじめ用意されています。
ただ、残念ながら、QUERTYキーボードやフリック入力は一切サポートされていません。たとえば「う」と入力したい場合は、昔のケータイのように「あ」のキーを3回タップする必要があります。正直便利に使えるレベルではないので、残念ながらキーボードは第三者製のものを追加インストールする必要がありそうです。(試しにATOKやGoogle入力のキーボードをインストールしてみましたが、問題なくちゃんと使えました。)
一方、Goole音声入力では、他のアンドロイド端末とほぼ同様に日本語の認識率はかなり高いです。たとえば、Home画面のGoogleバーでマイクのアイコンを選択し、「カレンダーを開く」と話しかけると、ちゃんとこれを認識し、端末のカレンダーアプリを自動で起動してくれました。(ただ、日本語で音声入力を使うときは、Wi-Fiまたはパケット通信がオンになっている必要があるようです。)
<アカウント>
※ アカウント設定では、他のアンドロイド端末と同様に、Googleのアカウントはもちろんのこと、IMAPメールやMAPI(会社のExchangeメールなどに使うプロトコル)の仕様もちゃんとサポートしています。
※ ただ、ここで既存のVertu端末のOwnerの方やファンの方には残念なお知らせなのですが、あのVertu独自のプレミアムメールサービスとして皆から愛されていた「Vertu.Me」(@vertu.meというドメインのPOP3/IMAP4対応メールサービス)が最近のVertuのタッチ端末(Signature Touch含む)ではサポート対象外の扱いになった模様です。どうやら以前に「Vertu.Me」と呼ばれていたプレミアムメールサービスやフォートレスといったサービスは、それぞれが今後はGoogleのGmailおよびGoogle Driveサービスにとって代わられていくようです。アンドロイドのタッチ端末になる前のS40の頃の端末やS60のConstellation Questのような端末をお持ちの方はこれからも現在の「@vertu.me」メールを引き続き利用可能なようですが、この先アンドロイドのタッチ端末を新たに購入する場合は、これらの端末には今後「Vertu.Me」サービスは付いてこないことになりそうです。そういう意味で、Signature Touchのような端末のOwnerとなる方は、今後必然的に1つ以上のGmailアドレスの取得が事実上不可欠になると思われます。
<端末情報>
※ 「端末情報」のメニューの内容もほとんど他のアンドロイド端末とは異なる部分はありません。
※ また、本Vertu Signature TouchはKitKat端末ですので、「Androidバージョン」の項目を連打すると、他のアンドロイド端末と同様に、上図のようなKitKatデザインの赤色の画面がちゃんと表示されました。
ちょっと長くなりましたが、これでいったん今回の連載第一弾の記事を終わりにしたいと思います。
次回は、実際にVertuの端末を購入したOwnerの方のみが体験可能なハンドセットの「端末登録」をおこなう様子についてお届けする予定です。
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