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特別寄稿: Vertu Signature Touchソフトウェアレビュー(4. 万全なサポート体制とセキュリティ対策、Vertu Certainty統合メニュー編)

PIC World 読者の皆さま

さて、どんどん行きましょう。

前回は、これぞVertuの真骨頂とも言うべき「Vertu Life」および「Vertu Concierge」の各サービスメニューについてお伝えしましたが、今回はもうひとつのVertu独自サービスである「Vertu Certainty」について見ていきましょう。

「Certainty」というと、日本語圏の世界にいる私たちにとってはあまりピンとこない言葉だと思いますが、たとえばこの単語の形容詞形は「Certain」、またこの形容詞形の対義語は「Uncertain」になるというような説明を加えると、ちょっとは親しみを感じれるようになる人もいるのではないでしょうか。

「Uncertain」といえば、一番わかりやすい例としては、激しい戦闘(しかも敵地)の場に送り込まれた1人の兵士の心境を想像してみるといいと思います。戦争の真っただ中に、しかも敵地に兵士として送りこまれるわけですので、そこには「Uncertain」(不確か、不安定)な状況は数え切れずあったとしても、「Certain」(不確かではなく、確実、安定)な環境はそこにはほとんど生まれてこないと思います。そうです、この自分の身の安全や安定した何かが負の状態にさらされる状態を「Uncertain」だとすると、「Certainty」はこれを「Certain」(安心、安定)に変えてくれる確かな何かだと言えると思います。

より具体的に話を進めるために、Vertu Signature Touchのようなスマートフォン端末を使用する際に「Uncertain」の要素となりえるものを考えてみましょう。まずすぐに思いつくのは、通信の分野における会話やメッセージデータの違法傍受、アプリの分野ではウィルスや悪意のある実行プログラムの混入の可能性、また日常の端末との生活を考えると、いざ何かが起きたときに丁寧なサポートをちゃんと受けられるか、というのようなことがあげられると思います。

本稿では、このような「Uncertain」の負の要素を「Certain」に変えてくれる、Vertuの「Certainty」というサービスの統合メニューについて見ていきたいと思います。

 

▼ Vertu Certainty

この「Vertu Certainty」というサービスは、Vertuが最近アンドロイドOSを当社の主力端末のプラットフォームとして採用を始めた頃から、Kaspersky(かスペルスキー)やSilent Circleのようなセキュリティ会社と次々と提携して強く推し進めてきた、カスタマーサポートの統合メニューです。

私は個人的にVertuが2012年後半にアンドロイドOSの採用を発表した際、「なんて恐ろしい決断をしたんだ」と、さまざまなセキュリティの問題点を憂慮しましたが、Vertuもさすがに初めからそれはちゃんとわかっていたようで、これら問題点の代表格といえる、ウィルスおよび数々の不正プログラムによる端末の攻撃や脅威の問題、会話やメッセージ、あるいは電話帳の傍受がやろうと思えばたやすくできてしまう問題などを解決するため、アンドロイドOSの採用発表後、すぐにKaspersky社およびSilent Circle社と提携を発表しました。

Kasperskyは言わずとも知れる世界的に有名なコンピューターセキュリティ会社で、Vertu Signature Touchでは「Kaspersky Internet Security」という専用のウィルス対策ソフトを提供しています。Silent Circleは実は私もあまり詳しくは知らなかったのですが、アメリカ メリーランド州に本社を構える会社で、カナダにサーバーを置いた独自のネットワークを用いて、スマートフォンおよびPC等の製品に通話やメッセージの暗号化を提供しているようです。Vertu Signature Touchでは「Silent Phone」、「Silent Contacts」、「Silent Text」という通話や電話帳、チャットメッセージの暗号化ソフトを提供します。

このほか、Vertuは120の国や地域に1300万ものWi-Fiホットスポットを提供しているiPass社とも提携しています。iPassのWi-Fiはセキュリティ的にもしっかりしていることで有名ですので、世界を股にかけて活躍される多くのVertu Ownerさんたちにとってはきっとこれはとても便利でたくましいサービスでしょうね。

このように、アンドロイドOSの盲点と言える部分を、それぞれの問題解決のエキスパート会社と提携することで見事に乗り切ったVertuですが、Signature Touchではこれら各社の対策アプリ・サービスと、従来の自前のユーザーサポートサービスであるVertuカスタマーサービスとをまとめることで、「Vertu Certainty」というトップレベルの統合UIを提供しています。

この「Vertu Certainty」の統合メニューは、次のいずれかの方法でアクセスできます。

「Vertu Certainty」の統合メニューは、下図のように2つのタブで構成されています。

<タブ1: MY PHONE>
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<タブ2: MY DATA>
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1つ目の「MY PHONE」タブでは、「Antivirus」のメニューからKasperskyの「Internet Security」アプリをインストールすることができます。このほか、他のメニューのからはそれぞれVertuカスタマーサービスの各種専用メニュー(カスタマーサービスへの電話/メール、FAQやマニュアル等の閲覧、カスタマーサービスのスタッフに画面のリモート操作を許可などの実行メニュー)を呼び出すことができます。

一方、2つ目の「MY DATA」タブでは、「Secure Calls & Video」メニューから「Silent Phone」および「Silent Contact」のアプリのインストール、または「Secure Instant Messaging」メニューから「Silent Text」のインストールをおこなうことができます。最下の「Global Wifi」メニューでは、iPassサービスの各種設定をおこなうことができます。

以下に、これら各アプリのインストール手順やその他サービスメニューの設定/操作方法を、可能な限り箇条書きの形式で順にお伝えしたいと思います。

 

<Kaspersky Internet Securityのインストール>

  • Kaspersky Internet Securityをインストールするには、上記「CERTAINTY」画面の「MY PHONE」タブから「Antivirus」を選択。
  • すぐにAntivirusソフトのインストー画面となるので、画面にそって本アプリを端末にインストール。
  • インストールの完了後、本アプリを初めて起動すると、国名の入力後、Kasperskyのアカウント作成画面となるので、こちらも画面にしたがってアカウントを作成する(IDとパスワードの定義)。
  • その後4~16桁のPINコード(new security code)の作成画面が続くので、自分用のPINコードを設定し、画面を閉じる。
  • インストールが完了すると、画面は次のように変更される(「Antivirus」の横の帯が赤色から緑色に変わる)。
    Screenshot_2014-09-14-17-21-26
  • 次回からはこのアプリを起動するたびに、はじめにPINコードの入力が必要となる。
  • Kasperskyのアカウントは、はじめの1年だけ無料となる。1年後も本アプリを引き続き使用したい場合は、別途支払いが必要となる。本アカウントは、アプリから、もしくは https://my.kaspersky.com/?logonSessionData=MyAccount&returnUrl=en のホームページから管理ができる。

 

<Silent Circleの各種アプリのインストール>

  • Silent Circleの各種アプリをインストールするには、「MY DATA」タブから「Secure Calls & Video」および「Secure Instant Messaging」を選択する。
  • 初めに「Secure Calls & Video」を選択すると、「Silent Phone」というアプリのインストール画面となるので、画面にしたがって本アプリをインストールする。
  • なお、「Silent Phone」のインストール後、本アプリを起動すると、すぐに今度は「Silent Contacts」というアプリ(正確にはSilent Circleの無料アドオン)のインストールを促す画面となる。この画面では「OK」を選択し、続いて「Silent Contacts」をインストールする。
  • 「Silent Phone」および「Silent Contacts」のインストールが完了したら、続いて「MY DATA」のタブで「Secure Instant Messaging」を選択し、画面にしたがって「Silent Text」というアプリをインストールする。
  • すべてのアプリのインストールが完了したら、下図のように「Silent Phone」、「Silent Contacts」、および「Silent Text」の3つのアプリアイコンがHome画面に表示される。
    Screenshot_2014-09-15-16-23-56
  • この画面で、3つのいずれかのアプリアイコンをタップして起動を試みる。
  • いずれかのアプリを起動すると、Silent Circleの新規アカウント作成画面となるので、「新規アカウントの作成」をタップし、画面にそってアカウントを作成する(ID、パスワード、連絡用メールアドレス、および自分の名前を定義)。
  • すべてが完了すると、「CERTANTY」の「MY DATA」の画面は下図のように変更される(「Secure Calls & Video」および「Secure Instant Messaging」の横の帯が赤色から緑色に変わる)。
    Screenshot_2014-09-15-16-23-00
  • Silent Circleのアプリでは、基本的に「Silent Text」は起動時にパスワードの入力は必要ない模様。ただし、「Silent Phone」や「Silent Contacts」を起動する場合はパスワードの入力が必要。このパスワードはKasperskyのように端末でのアプリ起動用に別途PINコードを設定するのではなく、上記でSilent Circleのアカウント作成時に設定したパスワードが自動的に適用される(ちょっとややこしい!)。
  • 「Silent Text」のアプリを使用する場合は、基本的に1年間別途支払いは必要ない模様(1年間無料でこの暗号化されたチャットアプリを利用できる)。ただし、「Silent Phone」の利用時にはちょっと理屈が異なる。
  • 「Silent Phone」を使用して暗号化された安全な通話をおこないたい場合は、あらかじめ用意された5つのクーポンを使用してアカウントのアクティベーションをおこなう必要がある。これらのクーポンはそれぞれ30日の期間限定のアクティベーションコード(16桁のランダムな英数字)となっていて、これらのクーポンを使う(アクティベートする)ことで、その日からまるまる30日間Silent Phoneを使って電話ができるようになる。
  • 30日を過ぎると有効期限が切れてしまうので、さらに続けて「Silent Phone」を使うにはもう1つのクーポンを使ってアカウントをアクティベートする必要がある。
  • この理論でいくと、あらかじめ無料配布されるクーポンが合計5つのみということを考えると、単純計算で使用可能な合計時間は30日×5=150日しかないことになる。つまり、Signature Touchを購入することでSilent Circleは1年間無料で使えるというように宣伝されているが、より正確にいうと、『1年間の有効期限内に「Silent Text」は常時利用可能だが、「Silent Phone」に関しては1本当たり30日間通話可能となるクーポンが5本配布されるので、1年の有効期限内であればこれらのクーポンをいつでも使用してアカウントをアクティベートできる」というような説明となるべきと思われる(これもなんだかややこしい!)。
  • Silent Circleのサービスについては、1年を過ぎると無料期間が完全に終了してしまうため、その後は必要に応じて更新の手続きが必要となる。特に「Silent Phone」については1年の無料期間内に合計150日間無料通話が可能となるクーポンがついてくるので、これらのクーポンを期間内に使い切ってしまった場合は新たにクーポン(1本当たり$9.95)の購入が必要となる。これらクーポンの購入やアカウントの管理は https://sites.google.com/site/nukdiorduosies2/home/the-signature-touch/sig-advice-to-owner のホームページからおこなう。
  • Silent Circleのサービスは、基本的に相手が同様にSilent Circleに加入していることが前提となる。相手がSilent Circleに加入していない(=Silent Circleのアカウントをもっていない)場合は、インスタントメッセージや暗号化された「安全な」通話はできない。
  • おそらくVertuのOwnerの皆さまにはある程度の横のつながりがあって、その中の一部または全員がSilent Circleに加入しているような場合に、これらの仲間の方たちと主に暗号化された安全な通話をおこなうのが主なUse Caseになるのではないかと思われる。

 

<iPass>

iPassのGlobal Wifiについては、今回は諸事情から何が正しい動作なのかを確認することができませんでした。

というのも、今回私が本Signature Touchをお借りしている間に2回ソフトウェアのアップデートがあったのですが、はじめの段階では「MY DATA」タブの「Global Wifi」を選択すると、いきなりiPassサービスの契約画面となり、ここで初年度から$200の支払い手続きを促す画面となっていました。ですが、2回目のソフトウェアアップデートを適用すると、画面が「本サービスを使用する場合はVertuカスターサービスにご連絡を」というようなメッセージの画面に変わってしまい、仕方ないのでVertuカスタマーサービスに連絡すると、「数日後にまたソフトウェアアップデートがあり、このアップデートを適用するとiPassサービスが再度使えるようになるので、必要であればその画面から必要な操作をおこなってください」という返事が返ってきました。残念ながら、この間にもう本端末を主様に返却しなくてはならない時期となってしまったので、その後のUIの変更や動作の確認はおこなうことができませんでした。

ちなみに、このiPassサービスですが、私はてっきりすべての端末(Vertu Signature Touch)のOwnerさんに対して1年間無料になると思っていたので、そのへんどうなのかとカスタマーサービスに聞いたところ、なんとそれはその各Ownerさんが端末を購入した際にそのBoutiqueの担当にどのようなOfferを受けたかによるとの回答でした。どうやら、このページをよく見てみると、Vertu OwnerへのiPassサービスの提供については「As a Vertu Constellation phone owner you may access this exclusive offer for a 12-month period at a highly competitive rate of $200.」とされていますね。もしかしたら、iPassサービスはすべてのVertu Ownerに対して1年間無料となるわけではなく、一部の優遇されたOwnerに対してのみおこなわれるか、あるいは、そもそも1年間無料になるということはなくて、代わりに申し出があった場合に限り通常よりも優待された価格が適用されるということだったのかもしれません。こちらについては、もしまた何か続報が入ってきたら、本ブログのページ上でその旨の追記をおこなっていきたいと思います。

 

<その他のカスタマーサービスメニュー>

なお、このほかに「CERTAINTY」の統合メニューの画面では、「MY PHONE」のタブに以下のメニューが用意されています。

  • Vertuカスタマーサービスへの電話発信ボタン + メール送信画面への連動ボタン
  • 「FAQ, Care & User Guide」へのアクセスメニュー
  • 「Repairs」(これを選択すると、画面最上段と同じVertuカスタマーサービスへの電話発信ボタン + メール送信画面への連動ボタンの画面となります)
  •  Remote Assist(これは、どうやらVertuカスタマーサービスのスタッフに端末のリモート操作を許可するためのメニューのようです)

「FAQ, Care & User Guide」は、おそらくVertuカスタマーサービスの提供サービスの説明、修理やサポート関連のFAQ、およびUser Guideのページへのリンクなどが記載されたページへ飛ぶのだろうと思ったのですが、残念ながら私が本端末を預かっている間は選択しても404のエラーがずっと表示されるだけで中身を確認できませんでした。どうやら、他のOwnerさんの中にはこの画面がちゃんと表示されている人もいらっしゃるようで、すべての方が同じ現象となっているわけではないようです。この件もVertuカスタマーサービスに連絡はしてみたのですが、やれ端末をFactory Resetしろとか、やれ宅急便で端末を送り返せとかいう大きな話になり、どうしようかとOwnerさんと話をさせていただいている間に端末の返却日がきてしまいました。。

ただ、ここで1つ豆知識としてわかったことがあります。Vertu Signature TouchのAlligatorやLizardの端末は使用されている革がCITES(ワシントン条約)の輸出入規制にひっかかる可能性があるので、もし何かの理由で端末をカスタマーサービスに送ることになった場合は、その都度事前に関係当局に必要な手続きの確認等をおこなう必要があるそうです。あー、面倒くさい。もし自分がVertuを持てるとしたら、それはそれは夢膨らむような話ばかりだと思っていたのですが、どうやらその裏ではいろいろと面倒なことや苦労もあったりするんですね。。

 

▼ About Vertu

そして最後に1つ、おまけの追記として、Vertuが独自に監修した自身のプロモーションビデオの数々を1つのフォルダ内にまとめて各Ownerの皆さんがいつでも再生きるようにした「About Vertu」という簡易プログラムについてもここで少し触れておきたいと思います。

このプログラム(アプリ)は、Home画面トップのViewの中央右にある「About Vertu」アイコンをタップすることで簡単に起動できます。

本アプリを起動すると、下図のようなサムネイル画像の一覧画面が表示されます。これらの動画はそれぞれ約30秒程度のコンテンツになっていて、各サムネイル画像をクリックすると、その選択した動画の内容がただちに再生されます。
Screenshot_1970-02-21-13-20-28Screenshot_1970-02-21-13-20-37Screenshot_1970-02-21-13-20-45Screenshot_1970-02-21-13-20-54

どれも迫力があってすごく見ごたえあるのですが、ここに含まれる計8つのプリインストールされた動画のうち、同じ動画をなんと5つもYouTubeサイトで見つけることができました。以下がそのURLとなります。すみません、残りの3つはどう頑張っても私には見つけることができませんでした。
・  HANDMADE IN ENGLAND
https://www.youtube.com/watch?v=2W032ultnHs&list=UUqQLUDXoQBnsSwYTP7Z9wiQ&index=15
・  DESIGN
https://www.youtube.com/watch?v=vhcHtYLsRLA&list=UUqQLUDXoQBnsSwYTP7Z9wiQ&index=16
・  SECURITY SERVICES
https://www.youtube.com/watch?v=JeLVUMEkhkA&index=11&list=UUqQLUDXoQBnsSwYTP7Z9wiQ
・  OPTICAL QUALITY
https://www.youtube.com/watch?v=e5wxv6LnkqU&index=19&list=UUqQLUDXoQBnsSwYTP7Z9wiQ
・  LIFESTYLE SERVICES
https://www.youtube.com/watch?v=RPxZL0DPKUw&list=UUqQLUDXoQBnsSwYTP7Z9wiQ&index=21

 

ということで、このへんで今回の記事を終わりにしたいと思います。

次回はいよいよ本連載最後の記事となります。次回の記事では、これまでのように各画面を見ながら1つ1つ丁寧にその内容を確認していく形はとらずに、動作、音、○○機能など、ざっくりとしたテーマごとに、気付いた点や率直な感想をまとめてみたいと思います。


 

前回までの記事:

 


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