ピックワールド(PIC World)

OpenSCAD とは?

通常は 3D データを作るには 3D CAD (三次元に対応した CAD)ソフトを使用し、元データを押し出したり、細かい加工をマウスやキーボードからのコマンドで入力し、作成しますが、OpenSCAD (オープン・エスキャド)はプログラムを書くことによって、三次元の物体を表現するという形をとります。

実際に、通常 3D CAD で酷使するマウスは、OpenSCAD では、プログラムによって描画された三次元データの拡大・縮小・回転・移動などに使われるだけで、マウスでデータの変更やデータの描画を行うことはできません。

物体の形状はすべてプログラムであらわされ、作成したデータは、この手のデータ交換によく使われる STL ファイル他へ出力することができ、このデータをもとに、CNC フライス / 3D プリンター などの機器へ出力するためのプログラムを別に使い、データを出力します。

プログラムというと、難しいと思われる方もいると思いうのですが、簡単です。

基本的な図形の描画などを行う命令は揃っていますし、有志によって提供された複雑な処理を行うためのライブラリもたくさんそろっています。

ライブラリとして提供されている代表的なものは、

  • ネジを作るためのライブラリ
  • ギアを作るためのライブラリ

などが(主として)海外の有志から提供されていて、プログラムの中でこれらのライブラリを呼び出すことにより、難しい形状でも容易に作り上げることが可能です。

また、自身で作成したよく使う機能をライブラリとして利用することももちろん可能です。

プログラムの形式は、どちらかというと「C 言語」に似ていますが、C 言語の難関といわれる(わかってしまえばどうということはない)ポインタの操作などは一切出てこない、わかりやすい言語形態となっています。

OpenSCAD では、プリミティブ(原型という意味)を元にして、様々な形状で原型から削り取ったり、加えたりといった操作で 3D データを作成していきます。

OpenSCAD を使うためには、グラフィック機能を有した PC が必要ですが、今はすでに販売されている PC にはこれらは装備されているので、問題はありません。

動作する OS は、マルチプラットホームに対応しており、

  • Windows
  • MacOS X
  • Linux

で動く OpenSCAD が、無償で提供されており、ライセンス事項に同意さえすれば、だれでも使うことができます。

ご本家の OpenSCAD のページはこちらにあります。(ダウンロードもこちらから、説明に従って行ってください)

また、Android 向けの OpenSCAD ライクなアプリケーションも有志から無償で提供されていますので、スマートフォンやタブレットで思いついたときにいつでも、例えば電車の中でも 3D データを作ることが可能です。

ただし、得意とする作業と、不得意とする作業があることを最初に頭に入れておいた方が良いと思います。

例えば、フィギア(お人形ね)などの複数のポリゴンで構成されているような物体については、OpenSCAD では不得意な分野ですので、これらを作成する際には迷わず 123 Design などの 3D CAD ソフトを使った方が良いと思います。このような物体を作るときに使われる言葉として 3D CG なんて呼び方もしますが、この分野は不得意であります。

OpenSCAD が得意とするものは、幾何学的な形状を組み合わせた物体です。

例えば部品であるとか箱・カップなどとなりますが、それでも工夫次第では沢山のものが作れると思います。

慣れればどうということはないのでしょうが、普通の人が 3D CAD や 3D CG のソフトウエアを使いこなすのには時間がかかるように思います。

もしも少しでも良いのでプログラミングの経験があるとか、もしも経験がないとしても、最初はうまくいかないかもしれませんが、自分の PC はいくらでも使うことができると思うので、少し粘って頑張れば、夢のような造形物が作れる様になると思います。

最後に簡単ではありますが、OpenSCAD の画面について、説明しておきます。

プログラムを起動し、簡単なプログラムを書いてみた状態です。

OpenSCAD (例)

OpenSCAD (例)

ウインドウの左側がプログラムのソースコードです。

右上は、プログラムにより描画された 3D データです。

右下は、プログラムのコンパイルなどを行った際に OpenSCAD から出力されるメッセージを表示する部分です。

このプログラムは、ずいぶん前に OpenSCAD を始めた当初に書いたもので、このデータはけん玉のお皿の部分ですね。

最初はこのようなデータを作れることに驚いたりもしますが、これはまだ序の口で、もっともっと奥深いものがありますよ。

後日このけん玉のデータは、初心者向けのチュートリアル(練習用)として、解説も加えて公開しようと思います。(少し待っててくださいね)

是非この機会に OpenSCAD を始めてみませんか?

楽しいですよ。

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この記事は 2016年12月18日 に以下のカテゴリに投稿されました .

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